「営業最強芸人」と芸人界で囁かれるくまだまさしさん。「営業」とは、全国の企業や学校、商業施設などのイベントを盛り上げる芸人さんのお仕事のことで、その「営業」の数は吉本興業の中でもトップと言われています。最強の営業と言われる秘密とは?都大会で優勝するレベルのレスリングをなぜ捨てたのか?そして今の芸風にたどり着くまでをお聞きしました。
■年間に立つステージはなんと700
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―くまだまさしさんといえば、全芸人の中で一番営業のお仕事を盛り上げるという噂を聞いています。 半分当たっていますが、半分間違っています。今、吉本興業には6,000人のタレントがいると言われていますが、私が一番盛り上げているというより、一番数として営業に行っている芸人でございます。もしかしたら、吉本興業108年の歴史の中で、僕が一番営業に行っているかもしれないです。
―年間どのくらいステージに立ってるんですか?!
1か月60ステージくらいなので、年間600~700。過去最高で1日13ステージやったことはあります。
―そんなにやった人、聞いたことないです。
社員さんに言われたのは、そんなにやったのは僕以外では、漫才ブームのときのザ・ぼんち師匠だけだそうです。
―新型ウイルスの影響でお仕事は大変じゃないですか?
確かに、一番打撃を受けているのは私かもしれません。3月に予定していたショッピングモールなどに行く営業は18本なくなりました。
―こんなに営業が入っているくまださんに、他の芸人さんもなりたいと思っていますよね。
全芸人がなりたいわけないでしょ。先輩のペナルティ・ヒデさんには「くまだはすごいけど、目指したくはない」と言われました。
■優勝したレスリングをあっさり捨ててお笑いの道へ
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―高校の時にレスリングの都大会で優勝されてるんですよね。これってすごいですよね。
大したことねーでございますよ、私なんて。
―そこからどうして吉本に入ろうと思ったんですか?
僕は関東第一高等学校という男子校に通っていました。(現在は男女共学)なので思春期の僕からしたら、女性がいなくて男ばっかり、その上、男くさいレスリング。なんてつまらないんだろう、と思っちゃってたんです。レスリングで大学の誘いもあったんですけど「もう嫌だ。とにかく楽しい人生を送りたい」と思って、すぐに社会人になって楽しい人生を送ることにしました。それで合コンとか、1週間に10本くらい―
―芸人になったのかと思いきや合コン。
合コンばかり行き、昔は長髪でサーフィンもやっていた。そういう感じの若者でございました。その頃に、周りの友達から「くまちゃんは面白い。日暮里の明石家さんまだ」と言われました。じゃあ日暮里のさんまがプロの世界で勝負してやるか、というのがきっかけで吉本に入ったという感じでございます。
■養成所の時にすでに出来上がっていた芸風
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―その芸風はいつ確立したんですか?
僕、ネタが始まる前に「く〜ま〜だ〜まさしぃ〜の〜」ってよく言うのですけど、あれは養成所の2回目の授業から言ってたんですよ。「どうだい、最低だろう?」っていうのは養成所で半年くらいの時には言ってたんですよ。
―漫才とか経てないんですか?
ずっとピン芸人です。良く言うと、本当にすさまじいほど早い段階で見つけてしまった天才です。
―自分で言うんですね(笑)
悪く言えば進歩がないんですけれども。
―最初からそれを選ぶ人は少ないのでは?漫才でM-1とかキングオブコントに出て勝ちたい、というのが一般的だと思います。
僕が24年くらい前に養成所に入った頃、ちょうど松本人志さんが『遺書』っていう本を出した時でした。ダウンタウンさん=コンビ=漫才というのが主流だったので、ダウンタウンさんを真似た漫才コンビがいっぱいいた。だから養成所の時から、そことは違うところに行こうと思っていたので。
―ブルマーも?
ブルマーは当時履けなかった。養成所を卒業して1年目とか出始めの頃は、衣装を着ちゃいけないんですよ。黒いトレーナーとズボンという決まりがあったので、芸歴2、3年目くらいで解禁になってから、こういう格好をしております。
―先輩とかびっくりしたんじゃないですか?
普通に考えたら、ド変態でございますよ、これ。当時の先輩や社員の人は「なんだこの格好は」と思っていたでしょうね。でもそれまでに出来上がってしまった芸風でございますね。
■人に喜んでほしくて始めたプレゼント
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―営業のコツや意識していることがあるんでしょうか。
本当に色んな事があると思うんですけど、1つ忘れているものが―。今日、なな先生とお仕事するの初めてですよね。 ―そうですね。
俺、実はなな先生にプレゼントを持ってきたんですよ。
――くまださん、どアップの自分の顔写真をたかまつにプレゼント――
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―めっちゃくちゃうれしいです(笑)これを配っているのを見たことはありますが、まさか自分ももらう日が来るとは思わなかったです!
ここに答えがあるんでございますよ。人というのは何をすれば喜ぶのか?と色々考えたときに、たぶん、全世界の人がお金をもらうと喜ぶでしょう。でも、あげられないから、なにかプレゼントして喜んでもらおうと考えました。
―吉本の劇場とかライブハウスで見たことあるんですけど、くまださんが「これ欲しい人」って言ったらちびっこたちが「わーっ」って群がってました。
「プレゼント欲しい人」っていってこれ(顔写真)を出した時の落胆した姿を見るのは、本当にかわいそうでございますけれども。 ちびっこで思い出しましたけれども、なな先生にもっとプレゼントをあげなければ。
――くまださん、自分の顔がプリントされたお面をたかまつにプレゼント――
これをお子さんにあげるとすごい嫌な顔をするんです。でも、後でお父様やお母様から僕のところに「お面をいただいた子の母でございます。子どもが本当に喜んでおります」とSNSのDMなどが来るんです。
―こういう小道具は、ご自分で作られるですか?
業者さんにお願いはしておりますけれども。毎月だいたい60ステージですから、約60枚カラーコピーしております。
―奥様と小道具を作っているというのを聞いたことがあるんですが、本当ですか?
自己紹介の時にやったサングラスは、奥さんと作っているというよりも、奥さんが考えてくれた小道具でございます。僕が「サングラスを使って何かやりたいんだけど、どうかな?」って言ったら、奥さんが「あげちゃえばいいんじゃない?」って軽いアドバイスで答えをくれるというか。
――ここでくまださん、たかまつがお面をずっとカメラに向けて持っていることに気づく――
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なな先生、お面付けたいんですね!?
―そんなつもりじゃなかったんですけど(笑) 最高です!
■飲み会で絶対に盛り上がる芸を伝授!
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―忘年会とか飲み会で絶対に盛り上がる芸を教えてください。
毎月60ステージ、年間700ステージで、カナダ、フランス、ドイツ、韓国、オーストラリアとかいろんな国に行って、ウケたこともあります。自分の中で自慢なんですけれども、あのトム・クルーズさんが見てくれて、エクセレントと言ってくれたのがあるんですけれども。
――くまださん、準備を始める――
OKでございます。くまちゃんボックスが出てまいりました。色んな状況の時にもってこいなのはこれでございます。風船でございます。まずはこの風船を鼻に入れます。それではみなさん、僕にパワーをください。はい、はい、はい―
――片方の鼻の穴に風船を入れて膨らませて、もう一方の鼻の穴にリコーダーを入れるくまださん――
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ワン、トゥー、ワン、トゥー、スリー、フォー!
――しぼんでいく風船と音を奏でるリコーダ――
これをやったら全世界大爆笑でございます!拍手!
―すごい、ありがとうございます!
■最後に
きっかけは合コンといえども、お笑いの世界に入って年間700回もステージに立つのは、本当にすごいことです。そして、営業でもバラエティーでもない対談なのに、素敵なプレゼントを振舞ってくださいました。お笑いを通じて、目の前のお客さんに真摯に向かうくまださんの姿勢は、後輩・同業者として頭が下がるばかりです。くまださんに負けないように、私も頑張りたいと思います! ーーーーー
お笑いの世界に入って年間700回もステージに立つのは、本当にすごいことです。そして、営業ではなく、今回のような後輩の YouTube番組にご出演という中でも、全力で挑んでやってくださり、素敵なプレゼントまでを振舞ってくださいました。「常に人を楽しませたい」お笑いを通じて、目の前のお客さんに真摯に向かうくまださんの姿勢は、後輩・同業者として頭が下がるばかりです。芸歴を重ねても、一期一会を大切にし、常に全力な姿は本当にかっこよかったです。私も、初心を忘れず、頑張りたいと思います!
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